日本人の食卓に欠かせないお米の価格が高止まりを続ける中、スーパーマーケットや飲食店で、低価格の代替品を積極的に取り入れる動きが広がっている。農林水産省のデータによると、12月上旬のスーパーでの5キロ当たり平均価格は4321円と、過去2番目の高値を記録。備蓄米の放出効果が限定的な中、消費者の節約志向が強まり、パン、パスタ、うどん、もち麦などの代替主食が売れ行きを伸ばしている。
この変化は、2024年から続く「令和の米騒動」の影響が大きい。猛暑による不作、観光需要の増加、流通のひっ迫が重なり、米価は前年比で倍近くに上昇した。政府は備蓄米を複数回放出したが、店頭価格の下落はわずかで、12月に入っても高値が続いている。消費者からは「毎日食べるものだから、少しでも安く抑えたい」という声が多く聞かれる。
スーパーでは、代替品のコーナーが目立つようになった。例えば、大手チェーンのイオンやイトーヨーカドーでは、パスタや冷凍うどん、食パンの販売が前年比で20%以上増加。調査会社トゥルーデータのデータでは、今年2月時点でマカロニの販売数量が20%伸び、冷凍ピザやグラタン類は24%増えた一方、米の販売は10%減少した。サミットストアなどの店舗では、米の販売量が減る一方で、パスタや米麺の需要が高まっているという。
コンビニエンスストアも対応を急いでいる。ローソンは、おにぎりや弁当に使う米にもち麦を混ぜることでかさ増しを図り、価格を据え置く工夫を拡大。もち麦メーカーのハクバクは、生産を土曜日稼働に増やして需要に応じている。担当者は「米のコストを抑えつつ、健康志向にも合う」と説明する。また、パンや麺類の新商品を増やし、米中心のメニューから多様な選択肢を提供する動きが進む。
飲食店側も同様だ。定食屋やファストフード店では、米の使用量を減らしたり、うどんやパンを使ったメニューを増やしたりしている。ある東京の定食店では「米の高騰で利益が圧迫されるため、麺類のセットを推奨している」と話す。外食チェーンでは、牛丼や天丼の価格改定が相次いだ後、代替メニューで客足を維持しようとする試みが目立つ。
この傾向は、単なる一時的な対応ではなく、食習慣の変化を示唆している。ダイイチ生命研究所の研究員は、AIを使った予測で、2025年から2027年にかけても米価は高めで推移すると分析。消費者の間で「朝はパン、夕食にパスタを週に数回」という人が増えている実態を指摘する。70代の女性は「麺類を多く買うようになった」と語り、60代のタクシー運転手は「朝食はパンだけに切り替えた」と明かす。
一方で、輸入米の導入も進んでいる。オーケーやイオンでは、米国産カルローズ米を国産より2割安く販売し、売れ行きが好調。かつて不人気だった外国産米が、品質の向上と価格差で受け入れられつつある。ただし、国産米を重視する声も根強く、完全な置き換えには至っていない。
専門家は「米価の高止まりが続けば、主食の多様化が定着する可能性が高い」と指摘する。農水省も需給状況を注視し、追加対策を検討中だ。家計を預かる人々にとって、米以外の選択肢が増えるのは朗報だが、長年親しんだ米中心の食事が変わる転機とも言えそうだ。










